シラバス参照
  
| 科目一覧へ戻る | 2023/09/27 現在 | 
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                  開講科目名 /Course  | 
                神経・脳代謝制御学演習/Neurophysiology and Brain Metaboism (Seminar) | 
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                  時間割コード  /Course Code  | 
                M232000052 | 
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                  ナンバリングコード /Numbering Code  | 
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                  開講所属 /Course Offered by  | 
                医学研究科/ | 
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                  曜日コマ /Day, Period  | 
                他 | 
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                  開講区分 /Semester offered  | 
                後期/second semester | 
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                  単位数 /Credits  | 
                2.0 | 
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                  学年 /Year  | 
                1 | 
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                  主担当教員 /Main Instructor  | 
                山田 勝也/YAMADA KATSUYA | 
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                  科目区分 /Course Group  | 
                大学院(博士課程) | 
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                  教室 /Classroom  | 
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                  必修・選択 /Required/Elective  | 
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                  授業形式 /Class Format  | 
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                  メディア授業 /Media lecture  | 
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                    教員名 /Instructor  | 
                  
                    教員所属名 /Faculty/Department  | 
            
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| 山田 勝也/YAMADA KATSUYA | 医学研究科/ | 
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難易度(レベル)                         /Level  | 
                      レベル5 | 
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対応するDP                         /DP  | 
                      DP1 | 
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授業としての具体的到達目標                         /Concrete arrival target as the class  | 
                      
◯脳には、最新の計測では神経細胞とほぼ同数と言われる多種多様なグリア細胞が存在している。このような脳の機能は、古くは専ら神経細胞同士の回路網により理解されようとしてきた。しかし近年、脳機能は、神経細胞のみならず、これらのグリア細胞、さらには血管系の細胞が細胞同士相互に作用することで営まれているとの考えに向かって少しずつ変化しているようである。 本演習では、これらの細胞の中でグリア細胞の形態的特徴と機能的役割に焦点をあて、最新の論文を題材に演習を行うことにより、脳に対する理解を深めること、また本演習を通じて日常生活や医療現場で遭遇する問題を、脳機能の側面から考える為の基礎を養うことを目標とする。  | 
                    
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授業の概要                         /Summary of the class  | 
                      
脳には神経細胞の他に、多様なグリア細胞や血管系細胞が存在する。グリア細胞のうち、特にアストロサイトは、微細なプロセス(突起)をシナプスの周辺のみならず、神経細胞の細胞体や樹状突起の隅々まで張り巡らせており、情報や物質の交換、代謝を行っている。その一方で、アストロサイトは、脳内に侵入する血管の内皮細胞を取り囲むようにエンドフィート(終足)を伸ばし、血管から脳実質への酸素や栄養の供給、様々な物質輸送や代謝に関わっているが、アストロサイトは脳のどの領域でも基本的に同じ性質を示すというのがアストロサイトに対する古典的な考え方である。これに対して当ユニットでは、脳の領域によりアストロサイトの微細なプロセスに発現する受容体が大きく異なり、アストロサイトは脳領域により多様性を示すことを最近報告した(http://www.med.hirosaki-u.ac.jp/~physio1/index.html)。さらにアストロサイトは、脳内に軸索がほとんどみられないグリシンを、神経伝達物質ドーパミンによる刺激に応答してグリシントランスポーターを介してグリオトランスミッターとして放出可能であることを報告した(http://www.med.hirosaki-u.ac.jp/~physio1/index.html)。この放出様式は、シナプス小胞の開口放出を介する神経同士の情報伝達様式とは全く異なる様式、すなわちトランスポーターを介して行われる。 中脳の黒質網様部と呼ばれる領域には、隣接する黒質緻密部と呼ばれる領域に存在するドーパミン神経細胞の樹状突起が侵入してドーパミンを樹状突起から放出している(樹状突起放出 dendritic release)。黒質網様部のアストロサイトはドーパミン刺激によりグリシンを放出するが、グリシンは、黒質網様部の主要神経細胞で錐体外路の運動制御に中心的な役割を果たすGABAニューロンの高頻度発火活動を停止させる強力な作用をもつ。従って、黒質網様部のGABAニューロンは、隣接する黒質緻密部のドーパミンニューロンのドーパミン放出により、アストロサイトからのグリシン放出を介して間接的に制御されている可能性がある。実際、電子顕微鏡を用いた観察から、黒質網様部では神経細胞の樹状突起間には必ずアストロサイトの細いプロセスが介在していることが示されている為、脳には神経とアストロサイトの両者を介したこれまでに知られていなかった情報処理回路が存在する可能性がある。 脳のグリア細胞には、アストロサイトの他にも、オリゴデンドロサイト、マイクログリア、NG2グリアなど多様な細胞が存在し、それぞれ近年驚くような性質が示され、グリア細胞の機能に関する考え方は、急速に変わりつつある。そこで本演習では、グリア細胞の形態的特徴と機能に関する最新の知見や実験データと歴史的に重要な実験データを選定し、それぞれに詳細な検討を加え、グリア細胞の役割、神経細胞や血管系細胞との相互作用についての演習を通じて脳の理解を深める。 また、学生諸君は演習形式での発表ならびに質疑応答とリアルタイム検索による概念構築を通じ、疑問や考え方に広がりを持たせ、発表者も非発表者も共に考えを具体的に説明する力も身につけることができる。  | 
                    
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授業の内容予定                         /Contents plan of the class  | 
                      
<後期> 以下の項目について、少人数を対象にセミナー形式で演習を行う。脳に強い興味を持つ学生諸君が集い、極めて密度の高い内容の演習が展開されている。全30回 第1~5回:オリゴデンドロサイト (Myelinating & Non-myelinating cells) 第6~10回:アストロサイト (特にAstrocyte Heterogeneity) 第11~15回:マイクログリア (正常と病態、脳腫瘍を含む) 第16~20回:OPC (前駆細胞、修復、発達を含む) 第21~25回:ペリサイト、NG2グリア(Controversialな問題も含む) 第26~30回:総合 (Neuron-glia interaction、Neurovascular couplingを含む) グリア細胞の役割、グリア細胞と神経細胞や血管系細胞との相互作用等に関連する歴史的に重要な論文ならびに最近のエポックメイキングな論文を取り上げ、各人が紹介する。 論文読破に必要となる基本的な専門用語や概念に関しては、教材として掲げたように、各分野を代表する一流執筆陣が書き下ろした「FUNDAMENTAL NERUOSCIENCE、 4rh Edition.」 Larry Squire他編、 Academic Press (2012)や「GLIA」 Ben Barres他編、Cold Spring Harbor Laboratory Pressm (2015)等を活用し、基礎知識の整理に役立てる。 脳を理解する上で重要な鍵であるグリア細胞に関する知見を整理し、未知の領域や未解決の課題へのアプローチ、得られたデータから論理的に結論に導いていく組み立て、データの処理方法や検証等に関する科学的手法を学ぶ。  | 
                    
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成績評価方法及び採点基準                         /A scholastic evaluation method and marking standard  | 
                      
毎回の演習は学生諸君の最も関心の高い特定のテーマを学生諸君が自ら選び、各自がPCをもちより、特定のテーマについて発表者と質問者、教官が質疑応答を行う。またその場で、新たに論文を検索して読みこむ。 課題に対する取り組み方(40%)、質疑応答の様子(30%)、演習開始前と比較した各人の理解の進歩の度合いの変化(30%)を、個人別に時系列による相対評価によって勘案し、総合的に評価する。  | 
                    
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予習及び復習等の内容                         /Contents such as preparations for lessons and the review  | 
                      
毎回の演習は学生諸君の最も関心の高い特定のテーマをいくつか持ち寄り、相談の上、テーマを決定する。 予習として、 1.自ら演習内容を選び、演習前に論文の全容を読み込む 2.必要な引用文献もできる限り調べる 3.レジュメ等を作製する 4.演習前に疑問点を整理しておく 復習として、 演習中にポイントとなる事項や内容をノートやPC等に整理し、演習後内容を反復、確認する。  | 
                    
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教材・教科書                         /The teaching materials, textbook  | 
                      論文は原則として1-2年以内に一流紙に発表されたものであって、その影響の及ぶ範囲の大きなもの、あるいはその分野の今後の研究を左右するようなインパクトのある内容を取り上げた論文の中から学生諸君がそれぞれ最も関心が高いものを相談の上、演習時に選定する。また、演習時には以下に掲げた参考文献の全てを用意する。学生諸君はそれらの中から各自必要と思うものを準備されることを勧める。 | 
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参考文献                         /bibliography  | 
                      
「GLIA」 Ben Barres他編、Cold Spring Harbor Laboratory Pressm (2014)。 「Neuroglia 3rd Edition」Kettenmann & Ransom編 Oxford University Press. (2013). 「FUNDAMENTAL NERUOSCIENCE」 4rh Edition.」 Larry Squire他編、 Academic Press (2013). 「Principles of Neural Science, 5th Edition.」Eric R. Kandel他編 McGraw-Hill Medical (2013).  | 
                    
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留意点・予備知識                         /Point to keep in mind, back ground  | 
                      演習では英語論文を用いる。学生諸君の中には、最初は専門用語と言い回しの二重苦となり、数行読むだけでも非常に大変な場合もあるかもしれない。しかし、特定の専門分野の論文で使用される語句は限られており、本演習を通じてその都度解説をしていくので、3報程度を一緒にしっかりと読み込むと、以降はどんどん読みやすくなり、演習終了後はそれほど抵抗感なく読めるように不思議と変化していく。演習をよい機会と捉えて、必ず予習を怠らないようにしていただきたい。 | 
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授業内容に関する質問・疑義等                         /Question, doubt about class contents  | 
                      随時、受け付けており、秘書室に電話もしくはメールで問い合わせ、アポイントをとること。日時に関しては両者の都合のよい時を選べるよう配慮します。 | 
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Eメールアドレス・HPアドレス                         /E-mail address, HP address  | 
                      
山田 勝也( kyamada@hirosaki-u.ac.jp ) http://www.med.hirosaki-u.ac.jp/~physio1/index.html  | 
                    
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学問分野1(主学問分野)                               /Discipline 1  | 
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学問分野2(副学問分野)                               /Discipline 2  | 
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学問分野3(副学問分野)                               /Discipline 3  | 
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地域志向科目                               /Local intention subject  | 
                      なし | 
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授業形態・授業方法                         /Class form, class method  | 
                      演習参加者は合意の上で選定された重要論文を読み込み、このうち発表者がレジュメを用意して内容を紹介し、非発表者が質疑応答を行う。解決されない場合にはその場で適切な文献を検索する方法を学び、またその内容も読みこみ、理解を深める。非発表者からの鋭い指摘を受けることで、発表者の意識も自然と高まり、準備作業自体が発表者の指導する教官の密度の高いディスカッションによりこれにより、 | 
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科目ナンバー                         /The subject number  | 
                      GM-5-2008-G46 | 
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メディア授業による著作物利用の有無について                               /Whether or not copyrighted works are used in media classes  | 
                      無/Nothing | 
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その他                         /Others  | 
                      特になし。 | 
| No. | 回(日時) /Time (date and time)  | 
          主題と位置付け(担当) /Subjects and instructor's position  | 
          学習方法と内容 /Methods and contents  | 
          備考 /Notes  | 
            
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| 該当するデータはありません | ||||